女性ローディーがパワトレした場合、どれくらい伸びるのか。
男性選手の事例はよく見るんですが、女性の場合、案外世の中に公開されていないので、私の1年間の記録を公開してみることにします。
基本スペック
オーバー30の女。
運動歴は18歳まで陸上競技(短距離)を真剣に取りくんだ。全国大会も2年連続で出場。
しかし長距離はてんでダメ。800m以上走るのは当時も今も無理。
高校で陸上を辞めてからは遊び人(パリピ)を経由してロードバイク乗りに転生。と言いつつも基本的にゆるっと乗る程度。激しい運動は全くせず。
現在は不定休の仕事で、夜勤もあり、不規則で忙しい。
トレーニング内容
パワーメーターを購入したのは2019年10月。実際にトレーニングを始めたのは2020年1月からです。トレーニングに関しては全くのど素人であったため、コーチをつけて技術指導とトレーニング計画立案をお願いしました。
開始時のFTPは140w。体重は55kgでした。
内容としては、ローラー練習でIT(Interval training)とSST(sweet spot training)を織り交ぜ、週1は実走で山へ向かい、峠道を15分-30分全力で踏み続ける練習(LT領域)をしていました。
練習はおおよそ週3-4回、1ヶ月の走行距離は600km前後、25時間程度。
2020年トータルで見ると、走行距離は6600km, 活動時間は300時間。
「トレーニングしてます!」って言ってる層としては多分少ない方なのではないかと思いますが、自分の生活スタイルではこれが適量でした。
練習の強度や疲労度の指数であるTSSは大体400-500程度。CTLも60-70をウロウロしてました。
よく心拍計をつけ忘れるので正確なCTLではないのですが、それでも70を大幅に超えるような時はなく。
FTPの推移
グラフではパワメ機種が変更された時に生じたズレを補正した値を使用しています。
折れ線グラフでFTP、棒グラフはPWR(power-to-weight ratio)を表記してます。
順調に右肩上り…かと言うとそうでもありません。様々な妨害要因が発生しました。
2020年4月 インフルエンザ罹患
これが一番辛かった出来事です。同居人のインフルエンザをバッチリもらい、3日間38℃の熱にうなされることに。体調は4日めには戻ったものの、自転車に乗るための心肺機能が著しく低下しており、練習強度を大きく下げるハメに。結局リハビリのために1ヶ月程度要しました。
文献をみると、インフルエンザ罹患後、心肺機能、特にVO2Maxが低下し、パフォーマンスの回復まで3週間ほど要するケースがあると報告されていました。私の体感としても完全に元に戻るのに1ヶ月近くかかっており、実際にパワーのデータを見ても元のパワーに戻るまでに1ヶ月以上かかっています。
体調管理の大切さを学びました。選手はインフルあかん。
2020年6月 卵子凍結のため運動制限
未受精卵子凍結を実施。ここで担当医からドクターストップがかかり2週間ほどトレーニングをおやすみ。しかしインフルエンザの時と違い、この時は練習をおやすみしただけで、体調には問題なし。このおやすみで練習量は半分になったがFTPは上昇もしないが低下もせず、横ばいで推移。意外と低下しなかった。
2020年7月 室温問題 + パワメ壊れる
この頃友人とシェアして住んでいた部屋はコンクリ打ちっぱなし、かつエアコンがないところでした。そのため、梅雨明けごろから室温が30度をこえ、さらにコンクリートの保湿効果で蒸し風呂状態。とても練習ができない…。
結局ローラー台用のマットを購入し、他の住民の邪魔にならない時間帯にエアコンのあるリビングで練習させてもらうことで解決。
またこの時期にパワメが壊れ4iiiiを購入。パワメ変更と共に急に練習がしんどく感じるようになったため、詳しく調べると、以前のものより4iiiiは10w低く出る傾向が判明。練習の強度を再設定し直しました。
2020年9月以降は、練習環境もようやく整い、休みなく練習を続けられています。
2021年1月現在、もう少し強度が上がっていますが、練習時間は変えていないし、これ以上増やすと日常生活に障るので増やすつもりもありません。また、コーチと相談してLTトレーニングを辞め、SSTとIT中心でメニューを組んでもらっています。(理由については別記事を書く予定)
現在のパワー
FTP 198w(補正前) 実走だと210w。
体重は55kgからほとんど変動ないためPWRで言うと3.8あたりが今の私です。
途中パワメ変更があり、数値のズレがあるのですが、補正した値で見ると1年間で70w程、1.5倍くらいになりました。
女性、30代、練習量は程々で1年間頑張るとこんくらい伸びるよ、と参考になれば幸いです。
おそらくもっと若く、時間も体力もある方だと練習量を増やすことでより伸ばすことはできると思います。
無論、FTPが全てではないことは重々承知です。今後レースに出る気になったら、集団走行やライディングフォーム、戦略についても学んでいかねば。
それでも、このように 成長が数字で出る ことは、継続のモチベーションになります。
今のところ、大会にでる目標も特段立ててはいないのですが、単純にトレーニングそのものが楽しいので、今後も練習を続けていく予定です。
女性の場合 月経周期に注意
女性選手、及び女性選手を指導しているコーチの方々に留意したいのが、女性がトレーニングする場合、月経周期に左右されてパフォーマンスが一定にならないことがある、と言うことです。
自転車競技の場合、パフォーマンスが数値として露骨に現れるためその変化は顕著です。それは女性ホルモンの分泌が一定でないこと(詳しくはこちらの記事参照)に由来しているため、仕方のないことです。
大事なことは、女性選手の場合、様々な要因でパフォーマンスが一定になりにくいので、それで選手を責めたり、選手自身が自分を追い詰めすぎない、この心構えは選手、指導者側両方に必要だと感じます。
まとめ
1年間を通して感じた私なりの感想をまとめると
・継続するためには妨害要因を取り除くことが大切
・練習環境大事(特に暑さ対策)
・体調を崩すと後々に大きな影響が出るのですぐ休む
・練習量は減っても続けておくと維持できる
・月経周期で練習が毎週同じようにはいかないがそれは自然なことなので落ち込まない
この記事が女性ローディーの参考になりますように。
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